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2019年1月18日

素材の本質を活かすという事 / MBK RD400

はい、というわけでラモーンズ2019年の記念すべきトップバッターはこちら【MBK / RD400】!

アルミの持ち味を活かし、極限までクオリティを追求した逸品

アルミニウム合金というと、そのコストパフォーマンスからか自転車業界では『エントリーグレードバイク用の素材』と思われがちですが、当然そんな事はありません。たしかに、カーボンが一般化してからはロードレースの最前線からは退きましたが、例えばMTBのダウンヒル競技などではコメンサルのアルミフレームが現在もワールドカップで勝っていますし、モーターサイクルのレースシーンではホンダ・ヤマハ・スズキなど主要メーカーのフレーム素材もやはりアルミ。軽量で、加工成形の自由度が高く頑丈で長持ちなステキ素材なんですよ。当たり前の事ですが【しっかりと特性を理解したうえで、しかるべき設計を与えれば良い】んですね。まあ、たしかにカーボンはメッチャ良いけど、アルミを貶す理由にはなりません。誤解を生む要因の一つなのでしょう。

てなわけで、誤解されがちなアルミロードフレームですが、精度と品質の権化『MBK』が手掛けるとこうなります

複雑かつ美しい有機的なパイプシェイプ、ビード痕を探す方が大変なほどスーパースムースな溶接部の処理、国内のカスタムペインターが塗るコンクールコンディションの塗装CNC削り出しのRDハンガーや、規格サイズバッチリにセンター出しがされたBB受けなどなど・・・

「エントリーでしょ?などとは口が裂けても言えない内容」ヤバイよ、マジで。

てなわけで、もうはっきりと言いましょう「コレこそがハイエンドアルミフレームです」。無理なワイヤ内装とか謎企画のBBとか、見た目やトレンドを追っかける為だけに用意された謎オプションは一切含まれません。見た目はインパクトがありますが、その実、機械式コンポで組むのを前提とした愚直なまでに基本に忠実な堅実設計のアルミニウムロードレーシングバイク。コレですね。

パイプワークは直線基調ながら、その実、曲線を複雑に組み合わせた有機的なシェイプ
フロントフォークはMBK『R-FORCE』ブランドのフルカーボン。肩の処理や、センターからワイドに広がるアウトラインが美しい
リアは一体形成のモノステー。カーボンバックだった過去のモデルの形状をヒントに、一から強度、負荷の計算をして再設計された逸品。

カラーリングモチーフはYAMAHAのMotoGPマシン『YZR-M1 ヴァレンティーノ・ロッシ』車

さて、MBKのバイクですが、基本全てのモデルがカラーオーダー対応
単色のスタンダードカラー以外は、モチーフをお伝えていただいた内容をもとに、国内でカスタムペインターが一つずつ塗装します

ほんで前にも書きましたがMBKYAMAHAグループの会社、本物のGPマシンカラーも再現できるんです・・・
そりゃもうオーダーしますよね『全体をYAMAHAワークスブルーで塗って、ロゴはロッシのフローイエローで!』ってね。

落ち着いた雰囲気にしたかった事もあって、今回スポンサーロゴ類は入れませんでしたが、ロッシ仕様のヤマハワークスカラーがもうね・・・カッコイイぞ!

※ヤマハの関連会社であるメリットは、権利関係だけの話じゃ無いんですよ。例えば最先端の技術や過去を含めた素材に関しての膨大なデータの共有、多種多様な考え方を持つ多くの技術者とのディスカッションなど。ジャンルは違えど、同じ2輪における最先端のレーシングカンパニーとの深い関わり、そしてそこから得られる圧倒的な情報を持つという状況。フィードバックという意味でこれほどのアドバンテージは中々無いですよね。小さい会社とナメられがちですが、MBKが目立たない理由ってのは『拘り過ぎて大量生産してないからユーザーが少ない』『販促のためのチーム供給をしていない』『あえてトレンドに乗らない』って事がメインであって、技術や情報量も最先端なんです。必要以上に広めない事を良しと見るか悪しと見るかは貴方次第です。

ヘッドマークとブランドロゴは鮮烈なイエロー

特徴的なパイプはハイドロフォーミングで成形

ハイドロフォーミング、つまり内部高圧成形は、アクティブな流体(油中水型乳剤など)を使った成形工程です。中空部品は、チューブ、任意のプロファイル、または2つのブランクから、内部圧力を適用することで成形します。この工程で必要な圧力は、使用する材料、材料の板厚、そして成形する最小半径に大きく依存します。最大で数千バールの内部圧力が必要です。

AutoForm社 ホームページより引用
https://www.autoform.com/jp/glossary/hydroforming/

メッチャ綺麗なこのパイプ、流体圧曲げという特殊技術で作られているんですね。利点としては、複雑な形状を自由に設定できる事や、一本のパイプを成形するので部品点数と要溶接部位が減り、その後の加工時の精度変化などを最小限に抑える事ができるんです。また、スプリングバックと言われる、プレス加工時に出る圧への反動を原因とした、型から外す際の精度変化も最小限に抑えられます。面倒だけど良いこといっぱいってな感じですね。

ヘッドチューブやダウンチューブの造形は必見・・・唯一無二ってのはこういう事を言うんですよ。柔らかな曲線で内側に広がるチェーンステーのボリューム感も、モノステーから分岐するリアエンドのラインもね、実はサイドにリブが入っていたりともうね、どこを見ても注目ポイントだらけ。まあこんな複雑な金型とか、コスト的にも普通はやらないですよ。見てて興奮します。

わたくしラモーンも、過去にモーターサイクルのエキゾーストで高精度にハイドロフォーミングされたステンヘッダーを使った事がありますが、取付作業時にギリギリ他の部品を避けつつマニホールドに流れるラインの美しさとその精度の高さに驚いた覚えがあります。メタル素材ならでは、ですね。

細くストレートな全体のラインに曲線が複雑に混じるトップチューブ
トップチューブに同じく流麗かつマッシブなダウンチューブ
最近はあまり見かけなくなったモノステータイプのリアまわり。カーボンバックだった設計をフルアルミに再構築した力作
BBは堅実で高精度かつ十分な剛性を確保するスレッドタイプ。なんとリタップやフェイシングなどの追加工を『非推奨』とする超絶高精度。他メーカーではまずあり得ないクオリティの徹底ぶり
組み合わされるフルカーボンのフロントフォークはMBKのカーボンプロダクト『R-FORCE』製の専用品。振動吸収性や剛性はもちろん、素直なハンドリング特性を生む絶妙な設計

部品構成も堅実に

本来であればコンポーネントもハイエンドに・・・といきたいトコロではありますが、今回は今後のカスタマイズの楽しみを残して堅い構成に。シマノR7000セットにフィジークのアロイシリーズ、ホイールはマヴィックのキシリウムUSTとまさに鉄板の組み合わせ。

レーシングアルミホイールの代名詞『キシリウムUST』、名前の通りチューブレスに対応
タイヤはハッチンsマヴィックのチューブレス『イクシオンプロUST』。スーパーソフトな乗り心地と高いグリップ力で人気。前後で溝パターンを反転させる謎仕様がステキ謎
ポスト、サドル、ハンドル、ステムからテープまでをFIZIKで統一
ブラケットの小型化と形状の変更によって持ちやすくなったSTI
上位グレードに形状を合わせたR7000クランク
十分な剛性と制動力を発揮するブレーキ
左サイドからのビューも迫力満点。近年では珍しいスタイルが新鮮

近年では珍しい”本気”のアルミフレーム

硬派、そんな言葉がしっくりくるバイクですね。BBがJIS/BSAなのはメーカーが求める精度がPFでは実現しないから、そして剛性に関しても問題無いからですし、ワイヤーの取り回しがトラディショナルな外出しなのも、ワイヤード構成での組み上げが前提という割り切った構造からで、取り回しによる抵抗の低減や整備性の高さなど、どのメリットを取るかが、はっきりしているからです。『トレンドを追わない』ということは『性能で妥協する』とイコールでは無いんです。トラディショナルではあってもスタンダードな構造を採用している理由は、基本に忠実に、必要な要素必要な場所に当てはめた実際の性能を重視する思想からなんですね。

また、精度や構造に関してばかり書きましたが、性能面でも妥協はありません
おいしいポイントは『実業団レベルの選手が、集団からもう一段加速する辺りの速度域』というとわかりやすいでしょうか。MBKの特徴である伸びのある加速感に加えてハンドリングも素直と、ライドフィールは優等生そのもの。

というわけで、全国のメタル信者のみなさん、アルミの逆襲が始まりましたよ。レース機材としても、スポーツライドの相棒としても、選択肢の一つとして『スーパーハイクオリティなアルミロードバイク』というのはいかがでしょうか。

MBK/RD400。その特性から在庫もセールもしておりません。注文後は少々お待ちいただく事になりますが、そのクオリティに納得いただけるはずです。
ご興味の方は是非、RAMON BIKESにお越しください。

エピソードV的な