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2019年10月18日

確定していない可能性の渦 / ARGON18 DARK MATTER / GRX 1X

ARGON18のデュアルパーパス・ランナー【ダークマター】

TTバイクにピュアロードレーサー、トラックバイクなど、舗装路を走るレースバイクをメインに据え、基本的にオフロードチョイスを持たないカナディアン・ロードバイクブランド『アルゴン エイティーン』のラインナップにおいて、ひときわ異彩を放つ存在……。
今回は【ダークマター】をご紹介!
※ダークマターなのにカラーがダークじゃないというツッコミがありましたが……ダークマターのmatterって、『物質』としての意味の他に『案件』とか『困り事』なんてニュアンスがあるんですよね。まあそこに掛けたのかは知りませんが【暗黒物質】ってのは『カラー的な、ある一要素が暗いもの』ではなくて『解明されていないアレ、なんか謎の物質。多分有る、知らんけど』みたいなニュアンスなんですね。したっけ砂の色でもカンベンしてください。おねがいしますおねがいします

写真のバイクのサイズはXS。アルゴンは少々大きめ設定なので、サイズ感としては他メーカーのSサイズくらいかな……したっけ、一番小さいサイズはXXSまで用意

一見、トレンドに乗って無理に加えた様にも見えるかもしれません……が、しかし実はARGON18にとってグラベルロードはハジメテじゃ無いんですよ。

ってのも、実は2014年には早くも【クリプトン クロスロード】を発売しているので、アドベンチャーは2世代目なんですね。

当時は「ディスクロードと言えばシクロクロッサー」な時代にもかかわらず、今日のトレンドである軽量なフレームにワイドタイヤとディスクブレーキを組合わせ、ホイールベースが長めエンデュランスロードをベースに、ロングライドで快適な特性を持つクルーザー的な万能バイクを仕上げる』という手法で、今のアドベンチャーロード・ムーブメントの源流に乗っていたんです。ダッシュ力や転回性など、シャープな反応が特徴のシクロクロスレーサーとは反対の特性ですね。

ジェイミスの【レネゲイド】初代モデルが2015年という事を考えると、実はアルゴンのグラベルシリーズも、ジャンル黎明期から続く名門と言っても良いかもしれません。

長めのヘッドチューブ(3D+)と大きくスロープしたトップチューブのおかげで、ハンドル高とサドル高の落差を余り出さないセットにしてもシートポストが長く出せる。いかにも乗り味がマイルドそうでしょ、そうなんですよ

ホイールだけに頼らない、高い振動吸収性

さて、それでは【ダークマター】ですが、見てわかる通りベースとなっているのは同社のディスクブレーキ専用モデルのエンデュランス・ロード【クリプトン】。

特徴的なフォークの造型や、フレームの剛性配分空力特性に優れた各パイプのシェイプなどは【クリプトン】の開発データを活かして流用してるみたいですね。積極的に各部を動かす事で衝撃を吸収する仕組みで、タイヤだけに頼らず快適性を向上させているんですね、すっごい動くよ

メチャブルしてますね。この手の検査・試験はARGON18のR&D部門が頑張って色々試してるっぽい

フレーム各パイプのしなりイメージ図。ARGON18のメソッド『HDS/ホリゾンタル・デュアル・システム』に従い、フレーム上面半分を積極的に動かす事で快適性を得る設計。しかしヘッド〜BB〜チェーンステーと、下周りの土台部分は対照的に動きを抑制する

延長可能な特殊ヘッドチューブ構造【3D+】とは

他にも、ARGON18の独自技術『3Dヘッドチューブ』をエンデュランス用にモデファイした【3D+】を採用。特殊スペーサーではなく『ヘッドベアリング受け』自体を物理的に延長する仕組みで、『ベアリングの配置位置そのもの』が変わるため、高い位置にステムをセットしてもコラムがしなりにくく、ハンドル周りの剛性を確保できます。

ってことはね、『ヘッドチューブ長を伸ばせる』のが設計の前提になるので、逆に『3Dヘッドを使用しない場合のヘッドチューブ長』を短く作る事ができるんですね。したっけ、小柄で攻め攻めなタイプの人でもしっかり落差が付けられますよ、特にロードモデルの小さいサイズとかスゴイから。

で、ロード用はそのエクステンダー自体がカバーの役目も果たしていたのに対して、エンデュランス・グラベル仕様の【3D+】はフレームに沿った形の『専用カバー』と中身の『エクステンダー』が別体。しかも3種類用意されていて全てフレームセットに付属します。イイじゃない!

ロード用は0/15/25mmだったのが、3D+では最大30mmプラス

15mmヘッドチューブ延長してるのに自然。ハンドルはリッチー【WCS VENTURE MAX】、グラベルといえばリッチー。下ハン形状がウニョっとしてるオモシロタイプ、浅めのフレアー形状がスーパー楽ちんなカンジ

綺麗にフレームに沿うカバーが自然な感じですね。ジャンクションは拡張性を加味し、あえて外付けの5ポートを。ステムはリッチー、グラベルといえばリッc

まさかの本気エアロダイナミクス形状的な

空力もバッチリ!平均30~40km/hとかで未舗装路を巡航する人はいないと思いますが、グラベルロードなんで舗装路もいっぱい走るでしょ?したら空気抵抗は少ない方がいいですよね。

大丈夫、ARGON18お得意のCFD解析で空気抵抗も考えた形状、もう完全にトレンドになった感のある『カムテール形状×小さめリア三角』なアウトラインになってます。
☆ほぼ同以上のパイプ型の『クリプトン プロ』が、今年のパリルーベでアスタナによってワールドツアーレースデビューしてます。ツーリングモデルとはいえ本気で開発されたエアロシェイプを採用しているあたり、派生モデルならではの恩恵ですね。

エアロ効果に優れたウイング形状と、負荷への反応がわかりやすく軽量に仕上げられる丸パイプの良いとこ取り『カムテール』。まあ採用しますよね

グラベル/アドベンチャーならではのアレ

アドベンチャーといえばバイクパッキング!フェンダー装備!みたいなご時世に合わせ、バッグやフェンダーなど色々装備できます。さすがにSURLYやJAMISに比べるとダボ穴は少ないですが……まあ充分でしょ!

ちなみに、ワイヤリングが問題になりがちな対応コンポ問題ですが、大体全部イケます。フルワイヤー組み、Di2、ジャンクションAのフレーム内蔵、フロントシングル・ダブル。ほぼ何でも来いな感じですね。シングルで組む時は『ディレイラーハンガー自体を着けない』ってのもアリ。

トップチューブ上部にダボ穴(ネジ受け)。最近はネジ固定できるトップバッグや小物入れも多いので、なにげに役立ちます。ハイドレーションホルダーとかも固定できそうですね

BB後ろ側、チェーンステー内のセンターにはフェンダー受けのダボ穴。FDのワイヤーが通る穴は、使わない時はアウタワイヤー受けごと外してゴムで目貼りしたら見てのとおり、スッキリ

ダウンチューブ中央上部のワイヤー引き込み口。写真の機械式コンポ用のフタにはワイヤーの類毎に数種類のグロメットが用意され、またDi2ジャンクションA固定用のフタは別形状のモノが付属する。小物いっぱい

サドルはWTBのPURE Vの真っ黒なヤツ。バックサイドの生地と刺繍されたロゴがステキ。どっちかっていうとMTB向きなクッション多め仕様。だってケツ痛いじゃん、未舗装路って

付属するARGON18オリジナルのカーボンポスト【TDR】、なかなか軽量でイイカンジ。トーキョーディズn-rンドではない、あそこの待ち時間マジで無理。あ、でもマウントレー●アみたいなコンビニカフェオレみたいな名前のアトラクションが好きです

最新のシマノグラベル向けコンポ【GRX】を!Di2で!フロントシングルで!

昨今の世界的なアドベンチャー・ツーリングムーブメントに合わせ、満を持してシマノが発表したディスクブレーキバイク専用コンポシリーズ【GRX】シリーズ。

今回はそのシリーズから、『Di2電動変速』かつ『フロントシングル』のアドベンチャー鉄板構成をチョイスしました。【RX-815】STIと【RX817】RDで組むカンジ、ロードで言う電動アルテなクラスの装備と思ってもらえればいいかも。

ブレーキレバーのヒンジ位置をロードモデルより上方に移動し、ブラケットも握りやすいように形状を作り直したSTI【ST-RX815】。いわゆる上ハンポジ、ブラケット上部を掴んでコントロールするのをメインに考えられた作り

現行のシマノDi2-STIは皆、片側3ボタン式でGRXも例に漏れず。ロード用はブラケット上部天辺近くにサードボタンを配置しているのに対して、GRXは内側側面にボタンを配置。ブラケットを握り混んだままスイッチ操作が可能に

フロントシングルや、ローよりな低いギア比をメインに据えるアドベンチャー・ツーリング構成向けのコンポという事で、小さなフロントチェーンリングに対応する110/80mmPCD、かつロードBB幅に対応するGRXクランク。フロントシングル用チェーンリングはチェーン脱落がしにくいナローワイドトゥースを採用

合わせたペダルはCRANKBROTHERSの【DoubleShot】、片面フラット×片面ビンディングのユルーい雰囲気がアドベンチャーにマッチ。今回はポイントカラーに『オレンジ』を設定したので、色的にもバッチリ

BBはモチロンWishboneの【BB86SH】!何度でも言いますが固定方法も精度も優れていて、しかも中のベアリングが交換可能なのはコイツだけなんですよね。オススメ

シマノのMTBコンポとロードコンポをミックスしたような作り、超ワイドギア対応の【RD-RX817】。スタビライザーをオンにするとプーリーの動きが抑制されるので、暴れるチェーンも落ちにくくなる感じ。ディレイラーハンガーはシマノのダイレクトマウント対応品が付属しているので、今回はソレを使用。スッキリ

カセットはスーパーワイドな11-42T、フロントが42Tのシングルなので最軽ギア比は1:1!未舗装路の激坂も結構イケそうな感じ。ちなみに一番重いギアは3.82くらいなのでまあ、フロントダブルで計算したら53×14T(3.79)とだいたい同じくらいの重さ。なお、Di2ケーブルを中継しているのはワイヤレスキット。前に着けるタイプが人気だけど、実はこんなのもあります

ブレーキは前後共にダイレクトマウント。リアは140mmディスクならアダプター無しで装着可。スピンドルは12/142mm

フロントは12/100mm軸、ディスクローターは放熱効果の高いスパイダー間がカバーされたロードタイプを。シマノのオススメっぽい

スルーアクスルシャフトのハンドルは着脱可能なタイプのDT Swiss、ARGON18ロゴ仕様のスペシャル

最新のロルフグラベル向けホイール【ハイアライト】を!25mmの!ワイドリムで!

なんか最近どんどん太くなっていく傾向なグラベルタイヤに合わせ、ロルフプリマのデュアルパーパス・オールラウンドホイール【ハイアライト】に、ワイドバージョンの【ハイアライト25】が追加ラインナップ。ほんでまあ、カッコイイアドベンチャー作るって事でそりゃ採用するよね。

※今までのダート対応700Cホイールって、使用用途がほぼシクロクロスだったわけで。そうなると、レースレギュレーションで33mm幅以上は使えないから、ソレより太いタイヤもリムはあんまり売ってなかったんですよね(29erはあったけどね)。しかし、昨今のアドベンチャーブームで太い700Cタイヤが一般的になってフレームも対応してきたことで、ソレ用のホイールも需要が出てきたって感じなんですね。ほんとのとこはしらんけど

スポーク数多めでニップル外出しな【ハイアライト25】。ワイドリム化で剛性もアップ

リムは当然チューブレスレディで、スポークホールの有るリム内周突端のリブ(センター)をオフセットしている。したっけ、スポークの入り角度を左右均等に近くなる、ほんでスポーク長・スポークテンションなどの左右差を少なくなる。結果、横へのたわみに強くなったり、均等なトルク伝達によって反応が良くなったり、片側への過度なストレスが解消されてスポークが折れにくくなったりと、良いこといっぱい

おなじみのホワイトインダストリー謹製ロルフプリマペアスポーク組み専用アルミ削り出しハブ様。12スルー×センターロックとか当たり前だし、フリーも選べるし、もう無敵すぎる

ブラウンのサイドウォールとオレンジのロゴがシブい、色が近いから違和感が無くてイイカンジね。てかペアスポーク組のホイールはスポーク感のブランクになんかもう特別感がダダ漏れですよね。最高かよ

タイヤは安心のパナレーサー製造、シムワークスダブルネームのほぼグラキンセミプレーンタイヤ【ボリューミー 700×38】をチューブレスで空気圧抜き抜きでイン。まあ間違いない

できた!

そんなこんなで、やりたい放題のどこでも快速アドベンチャーバイクができあがりました!

軽く試乗して思ったのは「超快適!」ってこと

「日本にはグラベルがほぼないから云々かんぬん」なんて言ってる人もいますが、カッコイイバイクで快適に走れるんだから、そんなのは些細な問題ですよ。どうでもいい

まずは快適使用でグラベル探しに行ったらいいじゃない。そんで、良いとこ見つけたらアタックしてみて、走破性に難があったらブロックタイヤ着けたらいいじゃない。そんなかんじ。自信が出たらグラインデューロ(今年はおわっちゃったけど)とかに出たら良いじゃん。

目を三角にしてないで、乗ってみようよ。グラベル・アドベンチャー、カッコイイよ 🙂

普段着で乗ってもいいんじゃない?車で言ったらポルシェのカイエンみたいな?ちょうどいいヤツね